茶道を習っていていちばん印象に残っているのは、お点前に集中していると、自然とこころが安らいでいくことでした。
お茶を点てる前にお道具の準備をするのですが、
その工程も好きでした。
きちんとした作法があり、決まった型を繰り返し行うことの大切さを感じます。
型があることを堅苦しいと感じる方もいると思いますが、型というのは基本であり、基本を繰り返し行うことで型が身体にしみこみ、やがて型のなかにこころが入るのだと思うのです。
型通り=決まりきった定型文のようなものではない。
同じことを繰り返しているように見えて、層のように積み重なっていくものがある。目には見えなくても身体に備わっていく何かがある。
お道具の準備をしている間に、仕事モードからお稽古モードに切り替わっていく。極めて大切な時間なんです。
この感覚ってなんだろう?
言ってしまえば、瞑想のようなものかもしれない。
マインドフルネスやメンタルケアが大事だと言われるようになったけど、昔の人は当たり前にこころを整える術を知っていたのだなぁと思う。
お点前も手順通りにやることは習えば誰でもできるようになる。型という器のなかにこころが入るとき、お茶を飲むという行為以上の精神的な豊かさも同時に得られると思うのです。